LAMBDA(ラムダ)のコンセプトである“PLAY FREEDOM”に共鳴するクリエイターに話を聞く本企画。記念すべき初回は、ブランド初のコラボレーション相手であるBED j.w. FORDの山岸慎平さんです。個性が異なる両者がどう共鳴し、どうシナジーが生まれたのか。インタビューから紐解いていきます。
“着飾る”を追究するBED j.w. FORDの美学
ユニークな視点で唯一無二のメンズウェアを提案するBED j.w. FORD。2017年にランウェイデビューを果たし、2024SSコレクションではパリで初となる単独ランウェイを実現。まさに今、世界で存在感を強めている東京を代表するブランドです。コラボレーションにあたり、デザイナーの山岸慎平さんに服作りにかける想いから訊きました。
「BED j.w. FORDは2010年に小さなアパートから始まったブランドで、男性が格好良く生きていくための服を作ることをテーマにメンズウェアを作り続けています。(女性が着てくれるのはすごくありがたいしとても嬉しいことですが笑)。女性の社会進出や権利拡大の勢いが強い現代で、“では男はどうあるべきか”という素朴な疑問からブランドをスタートさせたこともあり、男性が着飾るための洋服を、というのが僕の美学です。また、この“着飾る”という言葉を大切にしているのもBED j.w. FORDの大きな特徴です。着飾ることでもっと自信を持って生きてほしいなと思っていて。最近街を歩いているとくたびれた雰囲気の大人の男性がすごく多いなと感じるんですが、それは飾らなくなってしまったからだと思うんですよね。見た目を飾れば、メンタルも自ずと連動して意欲的になっていくこともあると思うんです。死ぬ手前まで、あれがやりたい、ああなりたいと言い続けられる人こそやっぱり格好いい。その点でいうと、ジュエリーはまさに“着飾る”ためのもので、僕たちの思いとリンクしやすいなと感じます。特にLAMBDAの着飾ることに対する自由な発想は、今回のコラボレーションが実現した大きな理由です」
共鳴する“PLAY FREEDOM”
大人の男性のための洋服を真摯に作り続けるBED j.w. FORDと、性別や年齢にとらわれないボーダーレスなジュエリーを提案するLAMBDA。一見、遠い存在とも捉えられそうな両者ですが、どのような点でリンクし今回のコラボレーションが実現したのでしょうか。
「“着飾る”という意味では共通している一方、そもそもアパレルとジュエリーの関係性ってすごく難しいと思うんです。僕らはコレクションブランドという性質上、どうしてもシーズンという概念にとらわれてしまうんですが、一方ジュエリーの世界ではシーズンレスなプロダクトを作っているわけです。実は、今までいくつかのジュエリーブランドからコラボレーションのお誘いをいただいたこともあったんですが、まだ僕らはジュエリーに手を出せる段階ではないんじゃないかと思ってお断りさせていただいていました。そんな中、今回のコラボレーションが実現したのは、パリコレクションに本格進出するというタイミングと合致したというのがまず理由のひとつ。名だたる世界のブランドにはアイコニックな装飾が必ずあります。今こそ僕らも挑戦すべきときだと思ったんです。そしてもう一つの大きな理由が、LAMBDAの考えに共鳴したから。“PLAY FREEDOM(自由を遊べ)”というコンセプトはまさにクリエイションの本質だと思うんですよね。というのも、僕にとっての自由というのがまさに服をデザインすることなんです。振り返ってみると、普段の生活の中に自由ってあまりないと思っていて。お金や時間もそう。僕にとって本当に自由な時間は、頭の中の発想をアウトプットしているとき。例えば、ノートにデザイン画を書いているときや思ったことをメモしているとき、誰にも邪魔されない真に自由な時間があると思うんです。自由さを大切にしているというのは、クリエイションの本質的な部分で通じているということかなと。今回一緒に仕事ができたのかもそういった共通点があったからだと思っています」
見たことがありそうでないものを
LAMBDAの魅力のひとつといえば、チェーンやジョイント、ピアス、チャームなど、さまざまなパーツを自由に組み合わせて自分だけのオリジナルジュエリーをカスタマイズできること。そのバリエーションは数億通りにも及ぶといいます。今回のコラボレーションでは、ブランドオリジナルの星モチーフのアイテム製作とともに、山岸さんによるカスタマイズジュエリーも提案してもらいました。
「コラボレーションで製作した星型のパーツはBED j.w. FORDの象徴的なモチーフで、僕らの24SSコレクションでも採用しました。そしてこのプロダクトに加え、今回は僕がセレクトしてカスタマイズしたネックレスも発売されます。カスタムでこだわったのは、チャームが垂れ下がるようにチェーンを加えたこと。涙がこぼれるようなイメージの星のチャームにはボールチェーンを、ハートのチャームには開閉式のジョイントパーツをつないでチェーンのように表現しました。昔から重力に逆らわずゆらゆら揺れるものが好きで、BED j.w. FORDの洋服にも紐やテープをデザインしたものが多いんです。こういった部分が“らしさ”なのかなと思いますし、見たことがありそうでないジュエリーに仕上がったかなと思っています。というのも、見慣れたモチーフを新しい発想で形にする、というのが現代のクリエイティブに一番大切なことだと思っていて。 “限りある資源を無限に創造する”というLAMBDAのコンセプトは、まさにこの発想と重なると思うんです。誰も見たことがない全く新しいものを作るのは簡単ですが、それは単なる一方通行ではないかと感じるんですよね。星やハートなどお馴染みのモチーフを新しい視点でアレンジする、この難しさと楽しさを楽しんでもらえたらいいなと思います」
同じパーツを選んでも、人によって完成形はさまざま。まさに“PLAY FREEDOM”なLAMBDAのジュエリーは、山岸さんの手によってらしさあふれる唯一無二のプロダクトに仕上がりました。このインタビューとアイテムによって、カスタマイズの楽しさや難しさがみなさんに伝わったでしょうか? 次回もどうぞお楽しみに。
PROFILE
山岸慎平 (やまぎし・しんぺい)
2011年春夏に「BED j.w. FORD(ベッドフォード)」を開始。2017年春夏コレクション、東京にてランウェイデビュー。2017年秋冬、2018年、2019年には、パリ、イタリアの展示会に参加。2020年秋冬コレクションは、現在コラボレーションも行っているMaison MIHARA YASUHIROのパリ・ファッションウィーク、ランウェイ会場でゲリラ的にランウェイショーを発表するなど前衛的な活動を重ねている。2023年8月にはブランド初となる直営店を渋谷区神宮前にオープン。